自転車ネタよりも先に、ハイカロリイオトメからのお知らせです。
1月4日から23日まで、ラフォーレ原宿 2Fにて、
「着物 IN LAFORET」やってます。
また、ちょうど今 ラフォーレの正面エントランスの
ショーウィンドウディスプレイでは、
ハイカロリイオトメの着物がメインで飾られています。
近くにお越しの際は、ヘテロフォニーブースへお立ち寄りください。
Courio-City 公式ブログ
自転車ネタよりも先に、ハイカロリイオトメからのお知らせです。
1月4日から23日まで、ラフォーレ原宿 2Fにて、
「着物 IN LAFORET」やってます。
また、ちょうど今 ラフォーレの正面エントランスの
ショーウィンドウディスプレイでは、
ハイカロリイオトメの着物がメインで飾られています。
近くにお越しの際は、ヘテロフォニーブースへお立ち寄りください。
この度、一緒に活躍してくれるスタッフを募集することになりました。
ブログに書きたいトピックは次から次に出てくるのですが、やる事が山のようで
全然更新できていないという。笑 いけませんね…。
スタッフみんなそれぞれが頑張っていて、いい形で仕事の輪が広がっています。
その輪に加わって、横浜の街を舞台に一緒に活躍しませんか?
今は東京(港区)にも拠点があり、横浜・川崎・東京、活躍の場は徐々に広がり、様々な場所で活躍しています。
やりがいを見出すのも、あなた次第。
何に対しても興味を持って接し、面白がって自分の中に取り入れる。
そういう人はぜひ一緒に働きましょう。
外勤も内勤も募集中です。
じっとしているなんて性に合わない。動いている仕事の方が好き。季節や気候を感じられる仕事も悪くない。人のために働く。環境によい仕事なら尚更。頑張り屋の方だ。個性を尊重したい。責任感なら負けない。
いま、自分も合ってるんじゃないかと思ったあなた。ぜひお待ちしています。実は、そんなに体力は必要ではありません。必要なのは、この仕事が好きであること。そんな自分が好きであること。
決して地元の人ばかりでもありません。スタッフたちの出身地で関東以外を挙げると、北海道・青森・岩手・秋田・福島・島根・福岡・熊本と、実は様々。やってみたい気持ち一つで飛び込んで来てくれた人も少なくありません。無線越しに聴こえる訛りが、多様性を感じて面白いんですよね。
当面はこの仕事1本で続けていきたい、という気持ちが固まったら、ぜひ遠方の方でもご連絡ください。
自転車・バイク(スクーター)、どちらの担当も必要としています。横浜も、東京も。
外勤の応募は、当サイトのリクルートページからお進みください。
そして、急ぎのご依頼に応えるべくバックオフィスからメッセンジャーたちを支えてくれる内勤のオペレーターや事務職も募集します。ずっと外の仕事なんて考えられない!というあなた。
こういう会社なので、やる事は山のようにあります。男性女性は問いません。
未経験でも、経験しているうちに出来るようになりますし、やった事はキャリアに繋がります。
輸出入に関する知識も身に付きますよ。
興味が出た方、おススメできそうな人が居りましたら、ぜひご連絡ください。
情報は、マイナビ転職サイトからご覧ください。(6/11~7/10掲載)
イベントの告知、半年ぶりの開催です。
11/29水の夜は、横浜西口鶴屋町、GrassRootsへGO!
皆様も、積極的に楽しんでいきましょ~! ^^
(サイトからの引用)
横浜の街と街を行き交う自転車乗りが音楽やアート、カルチャーを通して繋がるローカルコミュニティイベント「PEDAL OUT YOKOHAMA」
LIVE GUESTに横浜を拠点にする二組、カズキクチDJ SICKとSTRAWを迎え、SHOPはBMX RiderのNAO YOSHIDAによる手書きポストカード、横浜発メッセンジャーによるドメスティックブランドSIDE BOYZ、VJにはいつものmmfilmsが彩りを加えます!GrassrootsのGood Food&Drinkと自転車談義で2017年の忘年会にしましょう!
クリオシティが展開しているサイクルライフブランド「A by Courio-City」と、自転車好きが集う元町のシェアオフィス「MOTOMACHI x PORT」がコラボして生み出したメッセンジャーバッグが、ヨコハマトリエンナーレ2017の公式ショップ「SHOPトリエンナーレ2017」で販売されています。
上の写真はSHOPトリエンナーレ2017のガイドブックですが、ショッピングバッグを模してたりして面白いですね。今回のトリエンのテーマは「島と星座とガラパゴス」。
その中の1ページに、開発を担当したクリオのメッセンジャー、ジャージと次長くんもちょこっと写っています。
商品は、一言で言ってオシャレです。カメラを機能的に収納できる作りになっています。なぜなら、人気フォトグラファーの鈴木知子さんも一緒に開発に携わってくれているからです。
カメラを入れないで普通に使う場合にも対応しています。
大量生産品とは一線を画した、よく考えられて作られたアイテムです。
そういうアイテムを身に付けたいですよね。
赤レンガ1号館1F で売られています。
~11月5日(日)まで。
横浜・東京・自転車・カーゴバイク・250スクーター・A by Courio-City
未経験者・女性男性・フリーター・地方出身者・転職・バイク専任・文系・理系・体育会系・皆歓迎
街中走り回って制覇して、友達を案内してみませんか?
まずはお気軽にお問合せください。
go out, chill out, paddle out, “PEDAL OUT”!
ということで、街と人と自転車をテーマに交流を目的とした横浜ローカルコミュニティイベント。
この度2回目。
場所は横浜西口、鶴屋町。
企画してくれた皆さん、どうもありがとうございます。
クリオの信長も1930~2030でDJやります。
また、大きなバッグ生地をキャンバスにしたライブペインティングも楽しみです。
なぜ水曜日の夜に開催か??
それは自転車屋さんのお休みが多いから、だそうです!笑
週末開催のイベントには自転車屋さんたちは参加できないですからね。
ぜひ仕事終わりに集まってワイワイ盛り上がりましょう!
詳細は以下フライヤー、およびA ブログより
7月の3連休に長野県の富士見パノラマで行われた第29回全日本マウンテンバイク選手権大会、
マスターズ部門にクリオシティの「ぐっさん」が参戦してきました。
結果は、、、部門1位!
優勝!! ということで表彰台に上ってきましたので、
ここにお知らせしたいと思います。^^
カテゴリー別ではあるものの、1位は1位ですからね!
おめでとうございます!!
今後の活躍も楽しみですね。
夏も本番、皆さんも自転車に乗って出掛けませんか?
87犬です。
長年愛用してきたZUNOWのデリ車ピストが修理を終えて復活しました、っていう話です。
昨年の師走、久しぶりに振られたラッシュオーダーをピックするため
意気込んで平沼橋をモリモリ踏み込んで上ってた時のこと。
「ピキッ、ピキッ!」っとペダリングと共にBB辺りから聞き慣れない音が。
そのまま弘明寺先までのデリバリーを何とか終え、バックする頃にはBBのカップが外に出始めてきてたので、なるべく踏み込まないようにして何とか野毛の自転車屋さん「102かわもと」に滑り込みました。
「BBを締め直してもらえませんか?」
「いいですよ~。」(気さくに対応してくれる店長のチャゲくん)
「87犬さん!BBを締めても止まらないっす!これ、ワン側のネジ山いっちゃってますよ!」
「えぇぇぇ~!!」
・・・というわけでBB側ではなく、フレームのネジ山の方が年月を経て減ってしまっていました。
もう長年これでデリバリーしてるし、いよいよご臨終か・・・、と思ってましたが、元メッセンジャー同期で友人のブレンディ氏(池田氏)がフレームビルダーをしているため相談してみると、
「直せるかもしれないから、とりあえず見せてみて」とのこと。
池田氏は、REW10 WORKS(リューテンワークス)というオリジナル自転車ブランドを都内で展開している人気フレームビルダーだ。
他のビルダーさんが組んだフレームの修理を依頼すること自体、失礼に当たらないかとためらったが、実際は快く対応してくれた。(ありがとうブレンディ)
(ブレンディと自分は、昔メッセンジャーとして一緒に走っていた事がある旧知の仲です)
「真鍮を盛ってタップを切り直せば、まだ使えるよ」とのこと。
「10何年も使ってる割には錆もそんなにないし、キレイに使ってるね」と褒められ、これが結構嬉しかった!
「転がる石に苔むさず」ですよ。
自転車も、時々状態を気にしつつ走り続けていれば、長く使い続けられるんですよ。そうそう。
(乗らないとすぐ錆びちゃうけどね)
元々このZUNOWフレームは、京都KAZEのMくん経由で購入した競輪選手のお下がりでした。
2001年だったかな?当時京都にはピスト三兄弟と呼ばれる日本のメッセンジャーで
最初にピストに乗り始めた3人組が居て、自分はその五男坊・横浜支部ってことで
乗り始めました。(懐かしい話)
ちなみに当時東京では、ピスタチオを名乗るDちゃんやMが最初にピストに乗り始めた
メッセンジャーだったと思いますが、まぁ古い話しなので曖昧です。笑
当時はトラックバイクとかフィクスドギアという英語名の方が通っていた気がします。
自転車の塗装が溶接する熱で少し溶けてしまうとの事でしたが、直るなら構わなかったので正式に依頼しました。
そして、修理が上がってきた写真がこちら。(ババン!)
BBシェルの上部にクラックが入っていたそうで、そこも真鍮で埋めてくれました。
塗装は、そのままの状態でクリアーだけ吹いてもらいました。
この火事に遭ったような焦げた感じ、たまらないですね!!
傷だらけの、働くワークバイク。
木工職人さんが使い続けて柄の角が丸くなり、手の油で黒ずんでしまった、
けれどよく研いであるから切れ味はものすごく鋭い、みたいな年季を感じます。
見た目はボロいかもしれませんが、まだまだ走れますぜ!
ということで、2月下旬からまたこのZUNOWくんで走り回ることになりました。(次ページへ)
パーツをセットして復活した写真がこちら。(バババン!)
仕事の道具であり、愛車であり、大切なパートナーである自転車。
修理して乗れるなら、できるだけ長く乗り続けてあげたいですね。
「 モノは大切に 」
(・・・決してケチでセコいわけではありません 笑)
P.S.
今回の復活劇でご協力いただいたブレンディーとチャゲくん。
改めてどうもお世話になりました!m(_ _)m
それは、今から一年ほど前のことだった。
今まで、身勝手でがさつなおれを文句ひとつ言わずに支えてくれてありがとう。
ろくに大事にもしてやれなかったけど、あなたのおかげで幸せな日々を過ごせたことに今さらながら気づきます。
振り返ると、一緒に色んな町に行ったもんだよね。箱根や富士山に登ったのも今となっては良い思い出です。
もしミドリに先立たれることがあれば、おれも終わりかなと覚悟していました。
私事になるが、長年連れ添った愛車ミドリビンカが最期の時を迎えた。
2015/1/16(金)午後、冬の日差しが斜めから頬を射す。
一週間の業務もあと数時間で終わりだ。僕は建物に立てかけていたミドリビンカにまたがり、次のデリバリー先へ向かう。
「カキン」
鋭い感触が尻に響いた。あ、ヒビが入っていたサドルがとうとう割れたかな?と思いつつも、とりあえずそのまま走った。
「チーン!チーン!」
自転車のベルをつけたバイクが目の前を通り過ぎる。そんなことをするのは同業他社のナンチだけだ。髭面で黒ずくめで金のアクセサリーがギラギラしている死神みたいな風貌だが、バイクにはてるてるぼうずをぶら下げているチャーミングなやつだ。
彼は僕の自転車によくイタズラをする。ある日同じビルの中で会った時、「パッションさんサドル換えましたね?」と言うので、え?ずっと同じだよ?と答えると、「いや…なんか変わった形のサドルになってましたよ。」と言ってそそくさと去って行く。
なんか怪しいな~と思ってビルから出てみると、
こんなことになってたり。
またある時は、僕のサドルのヒビ割れにバンソコを貼ってくれていたこともある(笑)、優しい男だ。
そのナンチが過ぎ去ったあと、サドルよりも全然下の方からきしむ音が聞こえる。イヤな予感がして停まって見てみた。すると
BBシェルのラグとシートチューブがつながっていない!!
…………とうとう恐れていた時が来てしまった。
だが意外と冷静だった。
ゆっくりとならまだ走れるな。
残りの業務が完了するまでは添い遂げよう。
立ちこぎをすると、シートチューブがゆらり、ゆらりと、夕陽を浴びてメトロノームのように左右に揺れた。
こいつと一緒に走れるのも今日が最期か。
(正直、ナンチのイタズラか?!と一瞬だが思ってしまったことをここで懺悔したい)
今までの思い出が駆け巡る。
「カラビンカ」で知られる九十九サイクルさん。
僕が語るのもおこがましいし、説明するまでもないだろう。
そこを紹介してくれたのは、当時オレンジ色のカラビンカピストに乗っていた同僚だった。ズバ抜けて速い上に走ることへの見栄っ張り意識を一番強く持っていたメッセンジャーで、一緒に随分おバカなことをしてきたが「心の師匠」と言える存在である。名はアキラという。
今から10年近く前、折しもピストブームの真っ只中。中古で手に入れたトラックレーサーのフロントフォークにブレーキ穴を空けてもらいに行ったのが最初だった。
ご主人の田辺さんは、帽子を斜めにかぶりメガネを鼻の頭にちょこんと乗せ、にこやかに迎えてくれた。フレーム製作のオーダーを抱えながらも、部品の改造からママチャリのパンク修理までこころよく対応してくれるビルダーさんだ。
ある日なんか近所のおばちゃんが「なんでもいいんですけど、安い自転車ありますか?」とやって来たことがあった。その時お店にいた常連達は一瞬ギョッとしたが、田辺さんは「あぁ、それなら駅の方に西友がありますから、二万円ぐらいであるんじゃないかなあ?」と、ずらしたメガネの奥からやさしい目で答えていた。
一見、どの町にでもあるような自転車屋さんにも見える。
開店当時からあるという昭和感あふれる看板が迎え、敷居の高さはまるでない。もっと言うと、散らかっている親戚の家に来たみたいな安心感さえ感じる(スミマセン)。
これは、ニコラスバイクワークスにも通じる(25チャンニモスミマセン)。
寡黙なスタッフのナガサワさんが真剣な眼差しでママチャリの整備をしているかと思うと、すぐ奥の板金工場の様なスペースでは競輪選手のフレームが作り出されている。
ここのトラックレーサーを求めて、ピストマニアで知られるエリック・クラプトンがふらりと訪れたという話は有名だ。
ブレーキ穴を空けてもらってから一年ほど経った頃か。
やはり業務中であったがそのフレームが折れ、修理に持ち込んだ時のことだった。
ダウンチューブが破断してトップチューブにもダメージを与えていた。2本差し替えるなら他のフレームを探した方がいいかもねえ…ということだった。
そうですか……。
しばらく他の作業をされていた田辺さんは、ガッカリしていた僕を不憫に思ったのか、ふいに
「うちで作ってみるかい?」
と声をかけてくださった。
え?……イイイイイインデスカ?!
それまで僕はカラビンカフレームをオーダーしたいと考えたことは無かった。というのも当時からオーダーが出来ないことでも有名だったからだ。競輪選手のオーダーで手いっぱいで、基本的に一般の受注はストップしている状況が今も続いている。
最近知ったのだが、実はクラプトンが訪れた際にも抱えているオーダーを優先するために丁重にお断りしていたらしい(!)。
てっきり、凝ったフルオーダーをして帰国したものとばかり思っていた。彼が所有しているというカラビンカのフレームは、おそらく中古か何か別ルートで手に入れた物だろう。かといって田辺さんは、よく勘違いしたラーメン屋なんかにいる様な高飛車な職人とは違う。どんな有名人だからって特別扱いはせず、フェアにお客さんを大事にする方だからなのだと思う。
とはいっても、天下のエリック・クラプトンである。僕も10代の頃、クリームをよく聴いていた。
「オヤッサン、ほんとにクラプトンて知ってたんすか?!…マイケル・ジャクソンとかよりスゴイんですよ?」と言いたくなる(笑)。
クラプトンが帰りの飛行機の中から眺めたTOKYOは、
きっと涙でにじんでいたに違いない。
それなのにそれなのに、まさかの展開である。
身体の採寸をして頂き、無造作に箱に積まれた色見本のチューブをじっくり眺め…あまりに突然のことにドキドキしながら時間をかけて色を考えた。
結局、好きな緑色にした。そしてシルバーで漢字ロゴ(篆書)をダウンチューブにのみ入れてもらうことにした。
半年ほどして完成した。カイセイ019という、一般人には剛性と柔らかさのバランスがちょうどいいクロモリのパイプで、丈夫で身体にやさしい。一見、そば屋とか酒屋の実用自転車の様な地味な色だが、朝日があたるとギラリと輝く深緑でとても気に入った。
自転車に求める要素は人それぞれ違って当然で、ファッションとしてやオモチャとして乗るのでもいいとは思う。僕はほとんど趣味では乗らないので、まずは商売道具としての機能性が必要だった。どのビルダーさんのフレームがいいとか合うとかなんて生意気は言えない。それ以前に正直よく分かってもいない。
ただ分かるのは、自分が気に入っていればそれ以上はないし、自分が信頼する人の手によるものなら大丈夫と思えるという事実。特に仕事で命を預けて乗る上で、そういった安心感はとても重要になる。
BBシェルの裏に刻印されているのは製造年月日で、08/08/2とある。6年以上乗ったことになる。どれだけのオーダーをこいつに支えてもらったことか。
業務以外にも、トラックレースやヒルクライム、仮装ライドでも常にこのフレームと一緒だった。
間違いなく、僕の一生でこれ以上乗る自転車は無い。
金曜日の午後、最も業務に影響の少ない時を選んでしずかに身代わりになってくれた。
ゆっくり走りながら、「おれも一緒に引退かな…。」との考えがよぎった。
だが同じその時、同僚の火の玉兄弟チカッパがビシバシ走り回っていた。前日、ヒザに痛みを感じ病院に行っていたのに、信じられないオーダーをこなしていた。アキラ以来、僕が一番刺激を受けるメッセンジャーだ。
他社で誰だか知らない地味なメッセンジャーでも、モリモリ走ってる姿を見かけるとそれだけで胸を打たれる。無条件にかっこいいと感じる。そのインパクトを受け合いたくて僕はこの仕事をやっているんじゃないかと思う。だからこそ続けている間は自分もそうありたいと考えている。逆に、そう思えなくなったらスパッと辞めるつもりだ。
ヒザが壊れるかもしれないのに全力で前に進んでいるやつがいるのに、フレームが折れたからって気持ちも折れてる場合じゃないなと気づかされた。
翌1/17(土)
電車で九十九サイクルに見てもらいに行った。
だがやはりもう最期だった。
さんざんこき使ってきたわりに、充分もちこたえてくれた。大往生だと言える。
覚悟はしていたつもりだったが、途方に暮れた……。
しばらくして、田辺さんが工房の奥から一本の白いフレームを手にたずさえて現れた。
「これを使うといいよ。」
それは訳あって競輪選手から出戻ってきたフレームだという。
「サイズは合うと思うから使ってよ。」と。
え?……イイイイイインデスカ!!
(デ・ジャ・ヴュとはこのことだ)
「うちにあっても邪魔なだけだから、ゴミが減って助かるよ~。」と、ずらしたメガネの奥で目尻をしわくちゃにして笑った。
それはほとんど新品といえる状態で、真っ白なフレームにロゴはシルバーでKalavinkaと入り、ヘッドバッジは外されていた。チューブは8630Rという固くて反応のいいパイプが使われているプロ仕様であった。
ネットオークションで売り飛ばせばかなりの値段がつきますよ!という僕の失礼な冗談にも、目尻にしわを寄せ笑って流してくれた(恐れ多いにも程がある)。
田辺さんの目分量による見立ての通り、ヘッドチューブは僕のフォークがぴったりそのまま使えるサイズだった。そしてミドリにつけていたイタリアンのヘッドパーツもそのまま使える様にと、あっという間にヘッドチューブの内側を削り、内径を合わせてくれた。
ナガサワさんにはBBの乗せ換えまでして頂いた。しかも、中に水がたまってグリースが流されていたので、BBシェルの裏に水抜きの穴まで空けてくれた。なんか、歯医者に行ったら歯を磨かれてしまった的な恥ずかしさである。
あまりのことで僕はただアワアワ立ち尽くしている間にも、お二人はスパスパと作業を進めていく。
たまたまお店にいたナカムラさんというお客さんも一緒に作業を見守っていた。田辺さんは、ナカムラさんのことを呼び間違えて「ナガサワさん、」とか話しかけて世間話をしていたが、慣れているのか本当のナガサワさんはそれにこたえず黙々と作業に集中していた。そのコンビネーションがおかしかった。
田辺さんにはフレームにワックスまでかけて頂き、ナガサワさんは寡黙に迦陵頻伽シールをヘッドチューブに貼ってくださった。
※ついでに、マニアの間でよく語られる「カラビンカトリビア」の真実をいくつか。
ヘッドバッジのストックが残りわずかで、多くのメーカーと同様にシールに切り替わるという噂。確認してみたところ、選手用のは安全面も考慮してすでにシールになっているそうで、一般のお客さん用には今まで通りのヘッドバッジで製作されるそうだ。
「うちの(田辺さんの奥さん)がメガネをとっかえひっかえして作ってるよ。」と笑う。
あと「七宝焼き」と説明されることがよくあるが、それは間違いだそう。
(まあフレームの性能に何ら変わりはないことだが)
とっくに営業時間は過ぎていた。
おまけにみかんまで頂いてしまった。
失礼かと思い作業中の写真撮影は控えたが、まさに職人技だった。
一応書き添えておくと、フレームが折れたからといってこんな対応をして頂けることは通常あり得ない。巡り合わせが良かっただけだ。(そしてこんなことは公開するべきではないかもしれないが、工賃すら一切受け取ってもらえなかった)
電車での帰り道。
二つのフレームを両手に抱え、僕は気持ちが落ち着かなかった。大好きだった深緑色のフレームが、パーツが外されて随分と軽くなった姿で傍らにある。もう二度と乗ることはないだろう。まるで遺骨を持って帰る気持ちである。
そして僕の傍らにもうひとつ、とても上品で仕事で使うにはキレイ過ぎるピストバイクが妖しく光っている。
引退もよぎったその翌日にこんなことになるなんて、飛び上がるぐらい嬉しい一方でなにか違和感も感じていた。
長年連れ添った古女房に先立たれて喪に服すつもりでいたのに、すぐに若い愛人が出来てしまったみたいな罪悪感が沸き起こっていた。
青白く輝くフレームはトップチューブも太くなり、塗装はつやつやしている。なんかむっちりピチピチした小娘に見えた。そして使用していた選手のお子さんが貼ったのだろう、ミッフィーのシールまでついているキャピキャピしたやつだ。
シロビンカ…………僕には眩しすぎる。
カラビンカ乗りの友人アケチくんにそのことを話すと、「まあミドリビンカのこどもと思えばいいんじゃないですか?」と気をつかって言ってくれた。
その気持ちはありがたく頂戴したが、よく考えてみると“折れたフレームのこども”って何なんだ?……まったく意味が分からねえ……。
ミドリビンカで愛用していたリアブレーキ台座は、元同僚のバニヲが開発した“バニーブレーキ”。この世に限定30個しか作られていない。とてもコストがかかっている筈だが、そのうちの一つをスポンサードしてくれた。
一般的なアルミの板で挟むタイプとは全く発想が異なり、シートステイとブリッジの内側から、ロボットがアームを突っ張るようにして固定する。見た目も革命的だが、この台座にはフロント用ブレーキではなく普通のリア用のを取り付けられる厚さになっているのがエライところだ。
田辺さんも毎回「いやぁスゴいねえぇ………えぇ?!(口癖)」と絶賛されていたパーツだ。
シロビンカの後ろ姿。
集合ラグ&つぶしが入ったシートステイというスパルタンな仕様になっている。つまり固くてビシバシ進む。
シートステイの間隔が狭く、これにはバニーブレーキは着けられないので、以前BANKイベントの賞品で頂いていた天婦羅サイクルさんオリジナルの台座を使った。ステンレス(現行商品はアルミ製だそう)の感触が気持ちよく、数種類あるデザインのどれもシンプルでかっこいい。くり抜かれた星形といいミッフィーといい、実にファンシーな仕上がりとなった(笑)。
考えてみると、これらも含め業務で愛用している道具はもらい物ばかりだ。
使い込まれたクロモリのドロップハンドル日東B123は、アキラ師匠から譲り受けた魂のパーツ。
メッセンジャーバッグは、同僚ジャージ氏提供のUnder11(アンダーイレブン)。 T社のホンマンと街で会うと「形がキレイですよねえ。」といつも言ってくれる。
携帯ホルダーも、名古屋のwelldone(ウェルダン)イノッチさんに特注したモデルなのだが、結局頂いてしまった。
道具自体も僕にとってベストな物ばかりだが、スポンサードしてくれた人たちも素敵な男ばかりであることに気づく。
これから、先にフレームが折れるか自分が折れるか分からないが、 まだまだセンチメンタルジャーニーは続くようだ。
それから丸一年が経った2016年。年明け二週目の朝のことだった。
僕の腰に激痛が走り、起き上がれなくなった。数日してヨボヨボと病院に行くと、疲労骨折していたことが判明した。
レントゲン写真を見ると、背骨の一番下のピースと腰骨をつなぐ部分がズレている。フレームでいうと、シートチューブとBBシェルのつなぎ目である。
あ……ミドリビンカと同じ場所ってことか……
医師の説明中だったが、そのことに気づいた僕はうっかり笑ってしまった。
奇しくも、ミドリビンカが折れた日からちょうど一年後の1/16、
うららかな午後のことだった。
こうして、僕とミドリとの甘い日々は終わった。
現在、懐かしの映像として撮り溜まってしまっている2009年のメッセンジャー世界選手権大会(CMWC)を中心に当時の秘蔵映像を編集し直しているのですが、ようやくお台場でのメインレース予選の編集がまとまりました。(シーン9とシーン10)
インタビューでは、クリオシティのメッセンジャーもチラホラ登場しています。
Scenes of MSGR では、2009年のメッセンジャーシーンを一つずつ切り取り、不定期にアップしていっています。
87犬のウンチクと共に、「 A 」の読み物ページでアップしていますので、興味のある方はどうぞ。
以下、シーン9のコメントを抜粋。
メッセンジャーのメインレース。
会社を模したチェックポイントがコース上にいくつも散らばっており、そこから荷物をピックアップし、伝票に書かれたチェックポイントまでデ リバリーする。スタート時に渡される大量の伝票と地図を照らし合わせながらデリバリー順をプラン立て、自分のペースでコース上に飛び出していく。
コースは広い会場を街と同じく迷路のようにレイアウトされ、衝突事故を防ぐため基本的には一方通行となっている。
そのため分岐点で誤った方に進んでしまうと後には戻れず、またぐるりと周回しなければならないため、一瞬の判断ミスで大きなタイムロスとなってしまう。
オーダーによって荷物の個数や荷姿、大きさも様々で、30分以内に届ければ問題ないものもあれば、引取りから5分以内に届けなければならない大至急のものも出てきたりする。
立ち寄った所では、できるだけ荷物の引取りとお届けを同時にこなした方が効率は良く、選手たちは走りながら頭をフル回転させながら走り続ける。
予選は全員同じ数のデリバリーをこなすが順番に指定はないため、最も早く終わるデリバリー順を自分で考えて全てのデリバリーを完了させ、ゴールに戻ったタイムを競う。一つ一つには制限時間があるため一つの荷物でもタイムリミットを外してしまうと予選落ちとなってしまう。
自転車のロードレースや数ある自転車競技の中で、メッセンジャーのレースが他のレースと異なるのは、こうした走るだけではない本来の業務に即した勝つためのエッセンスが必要となるところだ。
メインレースはたっぷりと、前編後編に分けてお送りしましょう。
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シーン10のコメント抜粋。
冒頭のインタビューにある通り、お台場フジテレビ前のエリアを借り切って、公道を使ってメッセンジャーのレースを開催できたということに、改めて実行委員会のご苦労を労いたい。
あれからもう7年も経とうとしているが、本当に手作りのイベントの中で最高のイベントだった。
幾つかのインタビューの中で、印象深いコメントを残している人がいる。レース後にピンクの愛車を掃除していたクリオシティのJAG(ジャージ)だ。
彼は言っている。
「自転車をちゃんと愛してあげれば、その分自転車は応えてくれる」
彼はこの後のメインレース決勝でも、その言葉通りとんでもないパフォーマンスを発揮する。
また、10年以上も走り続けているキャリアの中で、一度も交通事故に遭っていないという事実も、愛されている自転車からのお返しということなのかもしれない。
参加者達から時折聞こえる意義深い言葉もまた、興味深い。
今回は、通常のメインレースと同時にカーゴレースの予選も行われた。
カーゴレースとは、大きな荷物を運べるタイプの自転車で競うもの。
カーゴバイクには大きく分けて2タイプあり、一つはハンドルより前に荷台があるタイプ。
もう一つはサドルよりも後ろに積むタイプ。中にはアタッチメントで本体に固定してキャリアを引っ張るトレーラータイプのものもある。
海外のメッセンジャーの中には、カーゴデリバリーを主な仕事にしている人も多く、彼らはCMWCでのカーゴレースを特に楽しみにしている。
そして、予選をほぼノーミスで通過した上位者たちによる翌日の決勝レースへと続く。
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