Courio-City 公式ブログ

月: 2014年4月

ひのりごと 42

先週、仕事中に泣きました。
自分の意思とは裏腹に、突然ボロボロと涙が落ちるのは久しぶり。

届け先の方が、最後になるだろうということで、もう一人の担当者と一緒に出てきて挨拶して下さいました。
その事がなんだかすごくうれしくて…
そう、嬉し泣きです。

お届け先の方は、直接のお客様(依頼主)ではないのですが、頻繁に届けに行く会社もあって、毎日のように顔を会わせる人もいます。
毎回たっぷり話をする訳ではないけれど、いつも寒さ暑さ、雨や雪を労って下さって、一瞬の会話に疲れや緊張をほぐして頂いたことがたくさんありました。

最近、ある年配の人から、
「君の仕事は労働してるって実感が強いでしょ。」と言われました。
その人は戦後何もない時代から自分で全てを考えて、手を動かして、モノゴトを作ってきた人。
そんな人に突然言われたので、「労働」ってなんだろう?ってふと思って、得意のWikipediaで調べると、
労働とは「からだを使って働くこと」と書かれていて…
まぁ、確かにその通りなのでした。

朝から走って、底の底までお腹が空いて、ごはんを食べたら深く深くねむりについて…カラダを使ったという実感は毎日。

そして、そういうカラダの実感と共に、いつも労って下さる人がいて、その事からも労働の実感を得させてもらっていたと思います。

お客様だけではなく、家族や友達も、
「最近雪が降ったけど、大丈夫だった?」
「雨が多いけど風邪ひかないでね。」
「強風の中おつかれさま。」
といつも声をかけてくれて…

きっと、走っているメッセンジャーだけではなく、外から見ても カラダを使っている ということが分かりやすい仕事だからですね。

決してメッセンジャーが他の職業に比べて特別に労働しているとは思いませんが、でもそういう優しさや温かさに触れる機会が多いのは、やっぱり特別なことだと思います。

お客様、お届け先、警備員、友達、街ですれ違うメッセンジャー、たくさんの人からもらったたくさんの温かい言葉、労い。

ストレートにここに書くのは少しこそばゆいですが(きっと読んでいる人も…)、走り終える日を明日に控えて感謝の気持ちでいっぱいです。

ひのりごと 41

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同僚のジャージさんに直しをお願いしていた、メッセンジャーバッグ(ジャージさんが作った)が戻ってきました。
突然。
いつ頼んだのかも、何の直しをお願いしたのかも忘れていたけれど(多分ベルクロのほつれ…)、もう仕事では使わないつもりでいたので、気長に待っていました。

なのに突然手元に届いたバッグ。
「残り数日となった稼働日に使ってくれたら。」と。

メッセンジャーにとって、この上ない餞別です。

しかも、ベルクロ部分の直しだけではなく、ベルトも裏側もフラップのパイピングテープも全部新しくなっていました。
でも陽射しや雨で色褪せたバッグ本体はそのまま。

最近使っていたバッグパックも最高の使い心地だったけど、
長い間一緒に走っていた、この色褪せたバッグと残り数日を過ごすことにしました。

久しぶりだったけど、すぐに身体に馴染んでくれました。

走っている時に、背中にぴったりと沿ったメッセンジャーバッグがある安心感。
体一つで走るよりも守られている感じ。
分かりやすく言うと、エアバッグ。
なのだけど、それだけではない安心。

本当にうれしいできごとでした。
ジャージさん、ありがとう。

追伸
もう知っている方もいると思いますが、
今月いっぱいでクリオシティを退職することになりました。同時に長い間続けてきたメッセンジャーという職業から離れます。
この「ひのりごと」はもう少し続きますので、改めて挨拶させて頂けたらと思います。

ひのりごと 40

ちぇっ!!

帰り道、雨に濡れながら走ってたら、パンクしました。
パンクしました…パンクしました…(エコー)

頭の中では、
「帰ったらすぐにシャワー浴びて、ごはん食べて(今日は冷蔵庫にあれがあるからあれしてこれして白米炊いて)…珈琲淹れて、週末に買ったあのクッキー食べて…」
シュミレーション完璧だったのに!

家までは残り数キロ。
路肩で濡れながらパンク修理する気にもなれず、家まで自転車を押して帰る選択。
と、同時に思い浮かぶのは帰り途中にある数軒の自転車屋さん…。
「パンク修理頼みたい…。女だしメッセンジャーだってばれないんじゃない?何も分からないです♡って顔してニコニコしてれば、ばれないって!だってさ、今から雨で汚れたタイヤ触って手真っ黒になるの嫌じゃん♡」
パンク修理を完全に放棄したい気持ちと、メッセンジャーとしてのプライドが闘うこと数分。

勝ちました、プライドが。(一応まだある。)

だからってモチベーションが上がる訳でもなく、家に帰ってごはん作る気力も無くなり、途中で牛丼屋さんにピットインしました。
憧れの三十代は深津絵里だけどさ、今日は許して。家帰って暗い玄関前で、一人背中丸めてパンク修理するのに、お洒落なカフェなんか寄ってらんないって。だから許して。誰か…。

はぁ…。雨の中のパンクによる心のやさぐれ具合はもう十分伝わったんじゃないでしょうか。
しかし、いくらやさぐれても誰かがやってくれる訳でもないので、家に帰ってすぐにやりましたよ。

玄関前でせっせとタイヤをはめていたら、お隣の奥さんが帰ってきました。
「あら、そんなことできるの!すごいわねぇ。」
「いえいえ、仕事道具なもんで。エヘヘ、エヘヘ。」
さっきまでプライドを捨てようとしてたのに、ちょっと褒められてデレデレ。
それから、近所のスーパーの情報などを数分話して家に入ろうとした奥さん。が、急に振り返って、
「あ、あれあげる。」
そして、段ボールからがさごそと取り出したのはサツマイモ。
「ありがとうございます!」

やったー!やったー!
パンク修理してたら、サツマイモ8本ももらったよー!
やったー!やったー!
モチベーション完全復活!

雨、パンク、プライド、深津絵里、そしてサツマイモ。
めくるめく、業務終了後の私の心なのでした。

キラキラキラ♪(BGMは小田和正)

はぁ〜。では、お風呂に入ります。

ひのりごと 39

一昨日の帰り道、
信号待ちをしていたら、すっと隣に並ぶ人。
同僚の「ちかっぱ」でした。
何でかいつも会うたびに嬉しそうな顔。
その日も、もれなく な顔。

ちかっぱは新しい自転車に乗っていました。
同僚のホッピーから譲り受けた、マットブラックな、マット…なのにちかっぱが乗っていると、つやつやして見えるかっこいい自転車。
いつも黄色やピンクや黄緑(しかも蛍光)なイメージのちかっぱのその日の服装は真っ黒。靴下も。
お…大人ちかっぱ…。

「すごい走りやすい」と嬉しそうに話すちかっぱ。
そしてペダルを見せてくれました。
私があげたペダルでした。
なんか、なんでか、すごくうれしかった。

メッセンジャー同士、いらなくなったパーツを交換したりあげたりはよくあることなのだけど、あまり自転車に周りほど(周りがありすぎ) 興味がない(愛はある)私は、ずっと同じパーツを使い続けて必要に応じて交換する程度なので、譲るパーツなんてそもそもないのです。
でもたまたま、同じペダルを2セットもストックに持っていて、新しい自転車の為にパーツを探していたちかっぱにあげたのでした。

仕事でずっと使ってたから、傷だらけだし、ビンディングのバネは生きてるのか分からなかったけど、
「いい音します!」だって。
よかった。
そう、私がずっと使ってるTimeのペダルは、靴をはめたときにカチャン!外す時にパチン!て、いい音がするのです。
ガチッとはまる感覚も気持ちいいし、この音聞くと仕事してる感が増すのです。

ちょっと話がそれたけど、
ずっと押し入れに入ってたパーツが目の前でメッセンジャーの仕事に使われてるの、すごくすごくうれしいなぁ。
この嬉しさって知ってるつもりになってて、実は知らなかった感覚。

あまりに嬉しくて、何回も「いいね!」と「うれしい!」を言ったから、おばちゃんしつこいってちかっぱに思われたんじゃないかしら。
でもうれしい。

ひのりごと 38

最近の楽しみは朝のラジオ番組。

仕事に行く前にいつも同じ番組を聴いています。

数年前にテレビが無くなってから、音が無いのがさびしくて意識的にラジオを聴くようになったのですが、そんな生活にもいつの間にか慣れて、今は本当に面白いと思う番組を見つけたら聴くようにしています。

その朝の番組は、音楽の紹介を中心とした構成なのですが、私が思う「ラジオらしいラジオの世界」がそこにはあって、なんだかいい気分になれるのです。

友人や家族の誕生日に合わせて曲をリクエストするリスナー。

それになるべく懸命に応えるDJ。

先に読まれたリスナーからのメッセージに反応して、さらにメッセージを送る別のリスナー。

そしてそれを細やかに汲み取って繋ぐDJ。

とにかくDJが真面目なのです。

そしてとても身近に感じます。
メッセージを送れば必ず読まれる…読んでくれるんじゃないかと思ってしまうほど。

テレビも好きだけど、テレビではなかなかこんな感覚って生み出せないんじゃないかな。

 

今日、久しぶりにお届けに行った会社がありました。

「ここに来るの久しぶりだな。」と思いながら、いつもの担当者へ内線。

いつもの通用口の前でサインを頂く。

そして最後に「お久しぶりですね。」と声をかけて頂きました。

何気ない一言だったのだと思いますが、同じように思って頂けていた事がとても嬉しかったです。

メッセンジャーはたくさんある物流の中の一つの手段ですが、その中でもより身近に感じて頂けたらいいなと思います。

朝のお気に入りのラジオ番組のように、応えてくれるのを期待しても良い存在。

 

先日、仕事中に乗っていた自転車に突然のトラブルが発生しました。

真っ先に思い浮かんだのは元メッセンジャーの自転車のメカニックのお店(ここでも何度か紹介したEFFECT)。

すぐに電話しました。

期待通りのばっちりのアドバイスと、次の日も滞りなく仕事ができるようにと早急の対応。

 

身近で頼りになる存在って本当にかっこいいんだな。

私ももっともっとかっこよくなりたい。

ひのりごと 37

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昨日は街がピカピカしていました。

前日の木曜日は、朝から家に着くまで、一日中雨に打たれ、ずぶ濡れになったメッセンジャーバッグと靴は朝までに乾き切らないままのスタートでしたが、残った水分も、ちょっと重い気持ちも 走るごとにふわっと軽くしてくれる景色。

この感覚はもう何回味わったか分からないし、以前のひのりごとにも書いたのかもしれないけど、味わう度に人に伝えたくなる清々しさです。

そして、天気と景色の気持ちを後押ししてくれる力にもすごいなと毎回思わされます。

これも以前のひのりごとに書いた気もするけど、まぁいいか。

人に伝えたくなるほどの清々しさを、素直な気持ちのまま写真と一緒にここに残しておきます。