「ナツ、ナツ、ナツ…夏ね。」
手のひらで、自分の腕を右左交互にポン ポンと叩きながら(80年代のアイドルを彷彿とさせる可愛らしい仕草…)、銀行の受付の方が言いました。
腕を出したTシャツ姿の私を見ながら、嬉しそうに。
東京は、昨日の、風吹き荒れるグレーな空から一転して、とても強い日差し。街中の街路樹も一斉に花を咲かせ始めました。
その勢いに圧倒されるくらい。
そんな景色をずっと眺めていれば、自分のTシャツ姿も、さほど違和感はないけれど、一日中室内で仕事をされている方にとっては、半袖短パン姿は新鮮な景色のようです。
そして春を感じる姿に少し気持ち軽やかになるのか、
ビルですれ違った見知らぬ方からも、「Tシャツですね。」と、何度か声をかけられました。
いつの間にか、街路樹の様に自分が季節感を感じさせる役割になっていました。
実は、
週末に観た映画と、昨夜まとめて観たドラマのずーんと重い内容に気分はどんよりで、急に花だらけになった街の様子にも、心なしかついていけてなかったのですが、そんなやりとりを何度か繰り返しているうちに気持ちがほぐれました。
映画やドラマに多いに影響を受ける私。
春を通り越して、夏な私の姿に影響される人。
そして、そんな人からまた影響を受ける自分。
映画やドラマの様にエンターテイメントのかけらもない地味な私ですが、どうやら少しばかりのウキウキは運べるようです。